友達に、とてもおとなしくて、控えめで、ベラベラとおしゃべりをするタイプではなく、その場にひっそりといる
そんな人がいます
友達が話しているのをうなずきながら、ニコニコとしながら話しを聞いている
今思えば、『細雪』の三女の雪子のような人です
雪子は恥ずかしがり屋で、お見合いを繰り返しますが、人前ではなかなか話しができずに、お見合いもダメになることが多く
雪子は30歳を過ぎても家で本を読んだり、家事をしたりして暮らしていました
友達の彼女は、父親が大きな会社を経営している家の長女で、お嬢様です
彼女には3歳離れた妹がいますが、彼女とは正反対でとてもハキハキしていて、物事もズバズバ言うので周りがハラハラすることもありましたが
彼女だけはその様子を見ながら、「もう、さっちゃんたら」と笑っていました
彼女にも当然お見合いの話しがたくさん来ていたんです
どこそこの会社社長のご子息とか、老舗の割烹料理店のご子息とか、あるメーカーのご子息とか、一度は聞いたことのある会社のご子息との縁談でした
でも彼女はいつも、のらりくらりとはぐらかしていて一向に縁談は進まなかったんです
お母さんは、そんな彼女をみていて一度だけわたしに聞いてきたことがありました
「あの子には誰か想ってる人がいるのかしら」と…
わたしは知っていたんです
彼女には結婚したいと想ってる人がいたことを
でも、家のこと親のことそして長女だからということに縛られていました
だから、言い出せないままに時間ばかりが過ぎていき、みんなが疲れてきた頃に、彼女は意を決して自分の想いを打ち明けたんです
今まで自分の想いなんて言ったことも、通したこともなかったのに、こっそりと優しく伝えました
自分の娘は親のいうことをよく聞いて、おとなしく優しい子で、あとは幸せな結婚をしてくれたらそれが幸せだと考え
親が持ってきたお見合いもスムーズにいくだろう、このままこの子は結婚をして幸せになっていくだろうと、思っていたご両親は驚きました
でも、今の自分の気持ちは通したい「これだけは!」という想い
そんな彼女を見ていて、普段おとなしくたって、控えめだって、ここぞというときに自分の気持ちを伝えることができたことは
彼女の違う一面を見たようで、わたしは一緒に喜びました
そして、そんな性格の彼女の言葉の重みを感じることができたこと…、とっても嬉しかった
一見、主体性がないように見える彼女だけれど、実は芯がしっかりしている人で、言葉には出さなくても、人や、物事を見る目が彼女にはある
そんなことがあった2年後に男の子の親になった彼女は、そんな性格のまま、今でもひっそりこっそりやんわりと暮らしています
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