義母の捨てられないもの

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「もったいない」

そう言って義母は何でも取っておく人でした

 

ヒモは10cmあったら捨てないで取っておく

10cmのヒモを何本もつなぎ合わせればりっぱなヒモになる

ということです

 

赤青黄色、細いものから太いものまで、そしてカラフルなリボンもありました

 

包装紙はキレイに畳んで紙袋の中に縦に収納して、紙袋も大中小に分けてあります

 

急な来客やどこかにでかける時に、家で作った野菜や、お裾分けなど

包装紙に包んだり紙袋に入れてあげることができます

 

布類もはぎれから酒屋でもらった手ぬぐい、名入りの白いタオルなどがたくさんとってありました

階段下の小さな納戸には、ヒモや包装紙、紙袋がたくさんしまってあります

 

ミシンのある部屋には布類や、はぎれがきちんと畳まれて箱の中に入っています

 

そこで誰かが「雑巾で使いたいんだけどなにかある?」なんて

 

聞かれた途端、義母は喜々として「ほらね、とっておくもんだよね」と、上機嫌になります

でも、義兄には「そんなに取っておいてどうするの?」

「そんなに使うところがないでしょ」と、いつも言われていました

 

実はわたしも物を捨てないようにと、言われることが苦痛な時がありました

 

ヒモなら売ってるし、そもそも保管場所もないし

そんなに人にあげる物もないし、あげるときは包装紙に包まないから

 

そう思っていました

義母は物を大事にするということを教わり、戦前から戦後を生き抜いてきた人です

 

物がなかった時代を生きていくための知恵は家族を守るためで、母親の愛情でした

 

なので断捨離なんてことは義母には考えられなかったと思います

 

そんな色んな物の片付けを次の世代に託すわけにはいかないと、義姉達が片付けをはじめていますが

 

何世代も暮らした家の断捨離は、考えただけでも気が遠くなりそうです

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