以前、わたしの地元の話しを書きました
「THE昭和」の世界の話しです
今後、多分こんなことはお目にかからないだろうし、あの頃にはこんな人たちがいたこと、目の当たりにしたことはわたしにとって、大事な特別な思い出になってしまったので、人生はおもしろいなと思っています
今日は、一人の強烈な個性の持ち主のおじいちゃんの話しを書いてみたいと思います
同級生、友だちのおじいちゃんの話しです
近所には個性的な人たちがたくさんいましたが、このおじいちゃんは別格でした
このおじいちゃんの家は酒屋さんをやっていました
その酒屋さん、お店は雑貨屋さんでもあり生活に必要なものはだいたいそろっていて、近所の人にとっては大きなスーパーに行かなくてもちょっとしたものは買うことができるし、配達もしてくれるので便利なお店だったんです
おじいちゃんの主な仕事は、おばあちゃんと交替でする店番なんですが、誰もが「店番がおじいちゃんじゃありませんように」と願うんです
自分が気に入らないお客さんにはぶっきらぼうな口のききかたをして、聞いている方はハラハラしてしまう
そのおじいちゃんは、夕方になるとお店の裏の原っぱで、飼っているヤギを散歩させることが毎日の日課になっていて、原っぱの横を通り過ぎて家に帰るわたしはちょっとだけ緊張しました
それはおじいちゃんに会いたくないからです
会うたびにわたしが飲めないヤギのミルクをすすめてくることがイヤでイヤで、「栄養があるから飲んでみな」と言われることは恐怖でした
友達のおじいちゃんだからと、子どもながらに気を使って、毎回どうやって断ろうと考えるのも大変だったんです
そのおじいちゃんは、とても神経質な人でいつもきちんとしていて、髪の毛はポマードでビッシリと七三分けに固めてて、その上からなぜか黒いネットをかぶっていたんです
このおじいちゃんは威張りんぼうの頑固者で有名でした
自分が気に入らなければ家族にあたり散らし、時には暴力を振るうことも
いつも威張っていて、自分の思うようにならないと怒ってかんしゃくをおこし家族を困らせていたおじいちゃん
今では考えられない暴君で、パワハラ、モラハラ色んなハラがつく人でした
なので、友達も、家族もお客さんまでもが顔色をうかがっていたんです
お店はおばあちゃんがいたからお客さんも来ていたんですね
友だちとわたしは仲が良かったので、お互いの家を行き来していましたが、遊びに行くときには、心の中で「どうかおじいちゃんと会いませんように」とお祈りをしましたし
友だちは、店番がイヤでいつも逃げ回っていました
おじいちゃんの奥さん、おばあちゃんは、やさしくて天使のような人で働き者でしたが、ある日とうとうおばあちゃんの堪忍袋の緒が切れて今までの恨みをおじいちゃんにぶつけたんです
天使のおばあちゃんの逆襲の始まりでしたから、おじいちゃんは腰を抜かすほど驚いたようです
「誰に食べさせてもらってるんだ!」というのが口癖のおじいちゃんも、おばあちゃんの本気の形相に口をパクパクさせているだけでした
「誰にご飯を作って食べさせてもらってるんだ!」と言い返し、「いつも理不尽に威張ってばかりでふざけるな!」と言っていました
それからは、出て行け!出て行ってやる!と大騒ぎになって…
わたしはちょうどその時お店にいて、その修羅場を友だちと二人で目撃していて、つないでいた手には汗がびっしょり
年齢を重ねるにつれて、頑固な性格がますます頑固になって「こうでなくてはならない」から抜け出せなくなってしまっていたおじいちゃん
昔は、そんなおじいちゃんのような人はわりといて、よく聞く話しでした
それからのおじいちゃんは、というと少しはやさしくなったようです
あくまでもおばあちゃんに対してだけだったようですが(^^;)
今でも分からないことがあります、飼っていたのはどうして犬じゃなくてヤギだったんだろう
今度友だちに会ったら聞いてみよう
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