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わたしの地元の海では毎年夏に花火大会をやっています

 

その花火大会に、友だちと行ってもいいよ、とお許しが出たのは中学生の頃でした

 

部活が終わったら急いで一度家に帰り、準備をしてから集合場所に5、6人が集まり海まで歩いて行きました

 

ホントに小さな小さな花火大会で、一時間もたたないうちに終わってしまうような内容でしたが、夏休みの楽しみの一つでもありました

 

その花火大会は地元の会社などが協賛として支えていたので、派手な演出もなければ、はっきり言ってしまえば「ショボい」ものだったんですね

 

それでもわたしたちにとっては、一夏の一大イベントでした

海沿いの海の家には、お醤油で焼いたとうもろこしやイカが並び、焼きそば、かき氷、ラムネなどもあり、わたしたちはいそいそとその列に並びました

 

花火大会の終わりが近づいてくると、協賛している地元の会社の名前が呼ばれてフィナーレを迎えて終わりになります

 

その中には友だちの家の建設会社の名前もあって、その名前が呼ばれると「呼ばれたね、さすがだね」なんていいながら帰り支度をはじめます

 

ですが、その年はいつもとちょっと違ったことが起きました

 

協賛会社が呼ばれた後に、「○○さん、僕と結婚してください」というコメントが読み上げられ、一発の花火が空に打ち上げられました

 

「ヒューーードッカーン!」じゃなくて「ヒューバン」と、それは今日見た花火の中でも一番寂しいものでした

でも、その時周りの大人たちが、一斉に拍手をしたり、口笛を吹いたりして応援するような感じになり盛り上がったんですね

 

当の本人たちはきっとこの周りの盛り上がりにビックリしたと思いますし、その後どうなったのかは子どもだったわたしたちには分かりません

 

ほんとうはわたしたちは、この寂しい花火にちょっとだけ笑ってしまったんです、たぶん「小っさ」とか何とか言って

 

ほんとうに失礼な子どもでした、ごめんなさい

わたしも彼の気持ちが分かる年齢になった時に、彼の勇気と、彼女のことを好きな想いを受け取ってもらえるようにがんばったことに対して、遅ればせながらわたしも拍手を送りたいという気持ちになりました

 

花火に託した彼女への想いは、彼女に届いてめでたしめでたしになったのか、ダメだったのかは分からないけれど

 

あの夏の大イベントは、花火大会よりもある意味すごかったし、「そういえば昔あんなことがあって…」なんて

 

顔も知らない人たちの一生の思い出になったことは間違いないと思っています

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